水溶性なら落とせる?残留農薬の不安を解消します!

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毎日の食卓に上がる様々な食材たち。しかし、健康や美容に気を遣う人達にとって、「食の安全性」は大きな問題です。特に日本は農薬をたくさん使う国で、農薬は身近な存在。今回は残留農薬にスポットを当て、そもそも残留農薬は危険なのか、水溶性農薬とは何なのか、残留農薬を少しでも少なくするにはどうすればいいのかについてご紹介します。

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農薬は必ずしもいけないものなのか

・農薬がないと食糧不足になりかねない?現在日本で栽培されている野菜の多くに使われている農薬。無農薬野菜・減農薬野菜を栽培する生産者はもちろん存在します。しかし、農薬を使わない・少ししか使わない栽培方法は難しく、また農薬を使用した場合と比較しても生産性は良くはありません。

特に日本の場合、気候の関係で古来より害虫被害があり、そのせいで幾度も大きな飢饉も発生。生産性の向上のためにも農薬は欠かせないものでもあります。・農薬による健康被害日本で使われている農薬には水溶性のものも多く、定期的に散布する必要があります。

なぜなら、雨や風、太陽光により流れたり、分解されたりすることで効果が低下するからです。さらに、水に流れ出た農薬はそのまま土壌に浸透し、地下水を汚染することもあります。これら農薬による土壌汚染・水質汚染の問題、そして残留農薬による健康被害の問題も報告されるようになり、農薬に対する安全面でも取り組みが必要になりました。

そこで昭和46年に制定されたのが、毒性の高い農薬の販売禁止・使用制限が義務付けられた農薬取締法です。販売されている野菜についても、平成15年に食品衛生法の改正により、基準値以上の残留農薬がある食品の販売が禁止されています。

そのため、私たちが購入する食品の残留農薬は健康被害が出ないレベルといえるのです。ただし、加工品に関しては適用外なので注意しましょう。

「野菜についた残留農薬の落とし方」

農薬の種類

スーパーなどに並ぶ野菜にはどんな農薬をどれぐらい使ったのかについて明記する義務はありません。生産者以外の方にとってはなじみがない情報ですが、農薬にも種類があります。・どんな農薬があるのか例えば、野菜を虫に食べられることを防ぐ殺虫性のある農薬、作物が病気にならないようにする農薬、これら農薬が雨などですぐに流れないようにするための農薬などがあり、生産者は作物やその時の天候によって適宜使用。

日本で登録されている使用可能な農薬だけでも約520種類もあります。

虫が死ぬのなら人体に影響があるのでは?という心配があるかもしれません。もちろん残留農薬が多い場合、健康被害が起きてしまうでしょう。しかし、先ほど触れた通り、各国で残留農薬に関する基準値が設定され、基準値を超える場合、その食品が販売されないようになっています。

・日本の残留農薬の基準基準があるのなら安全なのでは?という声もあるでしょう。ただ、一部では「日本の基準は甘い」とも言われていることもあり、危険なのではないかというイメージも強く残ってしまっています。実際の所どうなのでしょうか?

残留農薬の基準については、「年間に日本人がどれぐらいその作物を食べるのか」ということ、日本人ならではの体質も基準設定に加味されています。これが、外国で設定されている基準と比較すると、「日本は基準が甘い」と思われる原因です。

例えば、EUで頻繁に食べられる野菜・果物は基準値が厳しめに設定されます。一方、日本人がその野菜・果物はそんな頻繁には食べない場合、基準値は緩めに設定されます。そのような背景を無視して基準値のみを比較すると、「日本の基準は緩い・甘い」と思われてしまうのです。

残留農薬は少ないことに越したことはありませんし、家庭で取り除けるのなら実践すべきでしょうが、イメージにとらわれずに選ぶことが重要なのではないでしょうか。

残留農薬は家庭でも落とせる

無農薬野菜を購入しない限り、残留農薬は多かれ少なかれ存在します。ここでは残留農薬への対処法を紹介します。・残留農薬は取り除ける多くの農薬は水溶性なことから、水洗いなどをすれば残留農薬を落とすことが可能。

また、煮る・焼く・蒸すなどの調理過程でも残留農薬の残存率は低下します。

日本食品科学会雑誌に紹介された実験結果を見てみましょう。この実験では5種類の農薬を挙げて残留農薬がどれぐらい残っているかを数値化しています。処理前を100%とした場合、例えば、メチダチオンは水洗いだけで54%まで減り、クロロタロニルは37%まで残存率が低下。

また、焼いた場合、メチダチオンは35%、クロロタロニルは69%まで残存率が下がることがわかりました。つまり、水洗いと調理を組み合わせるだけでも残留農薬は大きく減らせることがわかります。

残留農薬を減らすための対処法

先ほど水洗い・調理でも残留農薬は減らせることに触れましたが、対策は他にもあります。以下の3つも有効なので是非お試しください。・皮や外葉を取り除くじゃがいも、りんご、カボチャなど、皮がついている野菜は皮を取り除く、またキャベツやレタスなどの葉野菜は一番外の葉を避けましょう。

ただ、皮に栄養が多い場合、一番外にあるだけで食べられる葉を捨てるのは勿体ないですよね。

その場合は次の方法を試しましょう。・食品用洗剤を使う食品についた残留農薬や食中毒菌対策ができる食品用の洗剤が販売されています。口に入れるものなので、植物由来の物を選ぶと安心ですね。・酢水や塩水に漬ける灰汁抜きにも使われる酢水と塩水。

灰汁と一緒に残留農薬も排出する効果があります。酢は臭いが、塩水は塩分が気になるという場合は食品用の重曹を使った重曹水に漬ける方法もオススメです。

それでも心配なら…

理屈ではわかっていてもそれでも心配という方は、どの食品をどこで購入するのかをよく吟味しましょう。例えば、無農薬野菜を購入すれば残留農薬の心配はなくなりますし、生産者を厳選して仕入れているお店で購入することで、安全性の高い食品の中から選べるようになります。

幸いにも現在は現地にいかなくても生産者から直接購入できる通販サービスも豊富です。ただし、先ほども触れたように農薬を使用した食品が必ずしも危険ではありません。今回の記事で残留農薬について考える1つの機会にしていただければと思います。

残留農薬を過度に心配する必要はない

農薬の健康被害は確かに過去にありましたし、時には基準値以上の残留農薬が検出されたというニュースもあります。しかし、現在は法規制により残留農薬の被害は抑えられるようになりましたし、基準値以上の残留農薬が検出されるということも稀です。

日本では水溶性の農薬が使われることが多く、多くの農薬が水洗いなどで落とせます。過度に心配せずに、食品選び・料理を楽しみ、豊かな食卓を囲みましょう。